140字小説

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読書随筆 雑誌『たたみかた創刊号・福島特集』

(本文はいわゆる書評ではなく、当誌を読み進めるなかで思考したものごとを自身に引き寄せて記しただけの文章です。)

 梅雨晴れしたある6月の休日の朝、茨城の県北けんぽく地域に住むぼくは常磐線いわき発鎌倉行きの臨時急行『ぶらり横浜・鎌倉号』に乗り込み神奈川へと向かっていた。鎌倉は半年ほど前までの居住地。つまりぼくにとっては里帰りのようなものなのだけれど、この列車の大半の乗客(おそらくはぼく以外の全員)の乗車目的は鎌倉の紫陽花や横浜の散策をメインとした行楽だろう。

使用されるのは常磐線特急での定期運用を引退した旧スーパーひたち・651系。6月の快晴。

 満員御礼の車内はいわきや茨城沿岸部からの乗客で賑わっており、朝の7時台にもかかわらずそこかしこで缶ビールを開栓する音が響く。誘惑にかられて3分の停車時間がある水戸駅では思わず売店へ駆け込みそうになったけれど、ぼくは何とか耐え忍んでみた。いいよね朝ビール。そして鞄から取り出した一冊の雑誌を開いてみる。

たたみかた』。鎌倉の南隣・逗子の夫婦出版社アタシ社が出す社会文芸誌、その創刊号である今号の主題は「福島特集」。表紙に銘打たれたそのタイトルの下には小さく「ほんとうは、ずっと気になってました。」と書かれている。

30代のための新しい社会文芸誌、とも。

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