冬なので苔ばかり見ている。ひからびたり、氷をまとったりしている。君はいくつ?と聞くと「よくわかんない」と返す。「とにかくさ、捨てまくるんだ。古いからだは」背は伸びないけれど組成を入れ替えていく。「どれが本当の自分かもうわかんないんだよね」とはいえ彼らはあまり困ってはいないようだ。
— 江口穣 (@JoEguchi) December 27, 2017
「さあ海だ!」少女だった私は喜びを声に表せた。大じいじはタイヤチューブに浮かび島影の途切れた地平線をずっと眺めていた。「空が好きなの?」「ナホトカ」大じいじは泳ぎだした。「あそこから帰って、ばあちゃんと結婚したちや」なら私もいつか北の国の港へ行こう。大人になれたら、船に乗るんだ。
— 江口穣 (@JoEguchi) June 17, 2017
ぼくが住む海辺は残され島のように未来へと錆びゆくことが定められた土地だ。それはここだけじゃない、ぼくときみたちの故郷すべてがそうさ。あの友も山裾で止まない雨を震えている。それでもぼくたちにはかすかな生活の営みが残されている。暗闇の洞窟の中で火を灯す。熱さが頬を焼き、乾く目が青い。 pic.twitter.com/ou7Uu67ZbH
— 江口穣 (@JoEguchi) July 6, 2017